今週のマーケットは、まさに歴史の目撃者となった気分でした。 日経平均株価は一時5万5000円の大台を窺う猛烈な勢い。
3月18日(水):日経平均は5日ぶりに大幅反発し、前日比1,539円高(2.8%上昇)の55,239円
3月19日(木):一転して大幅反落となり、日経平均は前日比1,866円安(3.3%下落)
私の金融資産は、毎日、新卒社会人の年収くらいの上下があり、画面の数値だけ見ても全然実感がないジェットコースター市場でした。。
(FIREしてたらこんな余裕は全然ないのでしょうね、、)

さて、そんな市場の乱高下を横目に、私は先週から新卒採用の面接をしています。
管理部門の責任者として目の前に座る学生たちと向き合っていますが、そこにあるのは驚くほど「冷ややかで、平穏な」空気です。
次から次へと現れる学生たちが語るのは、判で押したような「アルバイト」と「サークル」の成功体験。 ネットで拾ったわけではないでしょうが、「正解」をなぞる彼らのエピソードを聞きながら、私はふと、ある投資信託を思い出していました。
「彼らのガクチカ(学生時代に力を入れたこと)は、まるで『eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)』のようだ」と。
研究室でデイトレにいそしんでいた私の学生時代
今から20年前。就職活動の真っ只中にいた私は、およそ「正解」とは程遠い学生でした。 理系の研究室にいながら、実験の合間を縫ってはパソコンでデイトレに明け暮れる日々。
商社系の内定を勝ち取ったあの日の面接を、今でも鮮明に覚えています。 「学生時代、何に力を入れましたか?」という問いに、私は臆することなく答えました。
「研究室でデイトレをしながら、経済ニュースで市況動向を勉強しています。相場の変動から世界各地で何が起きているか、それを理解しようとしていたのが私の日常です」
今の基準で言えば、眉をひそめられるような「不真面目」な回答かもしれません。しかし、面接官は身を乗り出して私を質問攻めにしてくれました。研究の話、アルバイトでの接客の話、などなど。そして、最後にこんなコメントが。
「君は面白いね。聞けば聞くほどエピソードが出てきて、噛めば噛むほど味が出る。まるでスルメのようだね」
なぜ、私は「スルメ」になれたのか。 それは、自分自身の大切な資金という「リスク」を晒しながら、経済を「自分事」として必死に語っていたからです。
「インデックス化する若者」と「個別株の学生」
今の学生たちは非常に優秀です。論理的で、言葉遣いも丁寧で、大きな失敗もしない。 資産運用で言えば、まさに「オルカン一本」の安定感です。組織を支える土台としては非常に心強い存在でしょう。
しかし、面接官(そして投資家)としての本音を言えば、どこか物足りない。 企業が喉から手が出るほど欲しいのは、市場平均(インデックス)を大きく超えるリターンを生む、圧倒的な個性を放つ「尖った個別株」のような人材です。
「とりあえずオルカン」を選べば、大負けはしません。 「とりあえず無難なガクチカ」を語れば、不採用にはなりにくいでしょう。
しかし、投資もキャリアも、リスクを取って自分なりの「ネタ」を練らなければ、他者に勝る価値は生まれない。 就活も社会人も競争です。
高値圏だからこそ、自分の「味」を再確認する
日経平均が5万5000円近辺を浮遊する今週、周囲の熱狂に流されるのは、個性のない学生と同じ「思考停止」に陥るリスクを孕んでいます。
今週の私は、あえて静観を貫きました。 FXでの大負けや、コロナショックでの大損という苦い「味」も含めて、20年の経験を噛み締め、自分なりの「米国インデックス×日米高配当株」の比率を維持しました。
表面的な数字(株価)がいくら上がろうとも、その中身(銘柄)が「噛むほどに味が出るもの」であり続けているか。それを点検することに時間を割いた一週間でした。
あなたは「噛むほど味が出る」投資をしていますか?
投資も人生も、効率化(インデックス化)だけを突き詰めれば、最後には「誰でも替えが効く存在」になってしまいます。
あなたのポートフォリオには、他人には真似できない「こだわり」や「ストーリー」がありますか? そしてあなた自身のキャリアには、噛めば噛むほど味が出る「スルメ」のような深みがありますか?
「正解」が溢れる2026年だからこそ、あえて泥臭く、自分だけのネタを練る。 そんな投資家でありたいと、面接の冷ややかな空気の中で強く思いました。



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