「投資で資産を増やしたい」
そう思って日々、米国株のチャートや新NISAの銘柄選定に励んでいる方は多いはずです。
私もその一人です。
しかし、25年の投資歴があり、FP2級・簿記2級の資格を持つ私が、実は過去に「確実に戻ってくるはずの現金」を数十万円単位で捨てていたとしたら、どう思われるでしょうか。
その原因は、医療費控除の放置です。
独身時代のレーシック手術、そして第一子の出産。数々のライフイベントで高額な医療費を支払いながら、「手続きが面倒」「自分は対象外だろう」という勝手な思い込みで、私は還付金を受け取る権利を自ら放棄していました。
商社や金融会社で事業コスト管理を徹底してきた男が、なぜ自分の足元の「バケツの穴」に気づけなかったのか。
今回は、私が過去にスルーしてしまった具体的な失敗例と、それを現在の「年収・家族構成」に当てはめて計算した驚愕の損失額を公開します。
この記事を読めば、皆さんは私と同じ「無駄な損失」を二度と出さなくなるはずです。
【失敗1】レーシック手術25万円を「自由診療だから」と放置した若き日の過信
20代の独身時代、私は視力回復のためにレーシック手術を受けました。
当時、いくつかのクリニックでセカンドオピニオンまで取り、納得して支払った金額は20万円超。
しかし、私はこの費用を1円も医療費控除に回しませんでした。
理由は単純な思い込みです。
「レーシックは保険適用外の自由診療。そんな贅沢品のような治療が、税控除の対象になるはずがない」
そう決めつけていたのです。
しかし、真実は違います。レーシックは「視力を回復させるための医療行為」として、立派に医療費控除の対象となります。
当時の商社勤務で所得税率も高かった私にとって、この「思い込み」がいかに高い勉強代になったかは、後述するシミュレーションで明らかになります。
【失敗2】第一子の出産。「一時金があるから10万円いかない」という計算ミス
数年後、第一子が誕生しました。
この時も私は、「どうせ医療費控除は関係ない」とハナから諦めていました。
理由は、健康保険から支給される「出産育児一時金(当時は42万円)」の存在です。
「一時金でほとんどカバーされるのだから、自己負担が10万円を超えるはずがない」
―そう考えて領収書すら集めていませんでした。
しかし、これも大きな間違いでした。
- 毎回の妊婦検診の自己負担分
- 出産前入院時や退院時のタクシー代
- 産後の体調不良で購入した処方薬
これらをすべて合算し、一時金を差し引いた「正味の自己負担額」は、今思うと、余裕で10万円の壁を超えていました。慣れない育児の忙しさを言い訳に、私は「国が返してくれると言っている現金」をゴミ箱に捨て続けていたのです。
検証:もしあの時、確定申告をしていたら?
FP2級の知識を使って、当時の私が捨てた金額を冷静に計算(シミュレーション)してみます。
【医療費控除の還付額の目安】
(医療費総額 – 保険金・一時金 – 10万円) ×所得税率 = 還付額
※さらに、翌年の住民税も約10%分軽減されます。
【当時の損失シミュレーション】
- レーシック費用:25万円
- 出産時の実質自己負担:15万円
- その他の通院・薬代:5万円
- 医療費合計:45万円
(実際にはレーシックと第一子誕生は別年度でしたが、簡易計算のため合算します)
還付対象額:45万円 - 10万円 = 35万円
当時の私の所得税率(約25%)をかけると、所得税だけで11万円。
さらに、翌年の住民税が35万円×10%=3.5万円安くなります。
合計損失額:約15万円
投資家として最も痛恨なのは、この「15万円の種銭」を失ったことです。
もしこの15万円をS&P500などのインデックスファンドに投じ、年利5%で20年間運用できていれば、今頃は約40万円になっていました。たった一度の確定申告を面倒くさがった代償は、あまりにも大きかったのです。
なぜ、プロの端くれである私が「面倒」に負けたのか
商社マンとして数百億円規模のプロジェクトのコストを1円単位で管理していた私が、なぜ自分の家計ではこれほどまでにズボラだったのか。そこには2つの心理的バイアスがありました。
- 現状維持バイアス: 「領収書をまとめる」という目の前の小さな手間が、未来に手に入る「数万円の還付金」よりも重く感じてしまった。
- 医療費控除を実施した数十年後のイメージ不足: 仕事では時間軸を意識していたはずが、家計管理となると1年後の確定申告ですら疎かに、、そして、その結果がどんな未来になるかというイメージ不足。
しかし、今の私は断言できます。
「1円を笑う者は、相場にも笑われる」と。
2026年版:二度と損をしないための「kyoju式・超簡易管理術」
私の失敗を繰り返さないために、現在は以下の「仕組み」で管理しています。
- 「1つの封筒」に放り込むだけ: 病院や薬局のレシートは、帰宅後すぐに「医療費専用封筒」へ。選別は確定申告時期にまとめてやればOKです。
- 医療費集計フォームExcelの活用: マイナンバーカードを持っていないので、都度のレシート管理と共に、国税庁が提供している医療費集計フォームExcelを記入。これを用いると、確定申告時の明細入力を省くことができます。
- 市販薬も対象: 10万円にいかなくても、「セルフメディケーション税制」で所得控除が受けられるケースがあります。ドラッグストアのレシートも捨ててはいけません。
まとめ:投資の「攻め」と同じくらい、税金の「守り」を
投資で年利を1%上げるのは、市場環境に左右されるため非常に困難です。
しかし、確定申告で税金を取り戻すのは、正しい知識と少しの手間だけで「勝率100%」の投資です。
25年の投資経験を経て、私が辿り着いた結論はシンプルです。
「バケツの底の穴を塞がないまま、水を注ぎ足してはいけない」
私の苦い失敗談が、皆さんの今年の確定申告の原動力になれば幸いです。



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