この記事でわかること(3行まとめ)
- 2026年10月1日からふるさと納税の指定基準が変わり、同じ返礼品でも寄附額が上がる可能性がある
- ただし投資家が見込みで上限いっぱい寄附するのは危険。控除上限は年内の配当や売却益で動くため
- 私は今年、配当を申告不要にすると先に決めたので上限が読めます。だから9月に動いています。
9月の駆け込み、投資家は少し事情が違う
ここ数週間、「ふるさと納税は9月中に」という記事をよく見かけるようになりました。
結論から言うと、9月中に動く合理性はあります。 ただ、投資家には一般の会社員とは別の注意点があります。
それは、ふるさと納税の控除上限が、年内の配当や売却益で動くということです。9月時点の見込みで上限いっぱい寄附すると、あとで自己負担が膨らむ可能性があります。
私自身、今まさに9月の駆け込みで申し込んでいる最中です。日用品とフルーツを中心に、家族のリクエストに応える形で選んでいます。
ただし、先に決めたことが一つあります。 そこから書いていきます。
まず、2026年10月に何が変わるのか?
ネット上では3つの改正が混ざって語られているので、整理しておきます。
| 時期 | 内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 2025年10月 | ポータルサイトの独自ポイント付与禁止 | すでに施行済み |
| 2026年10月 | 「6割ルール」と地場産品基準の厳格化 | これから |
| 2027年 | 特例控除額に193万円の上限 | 超高所得者のみ |
「10月からポイントが禁止される」という情報を見かけたら、それは1年前の話です。混同しないでください。
今回の改正の中身
2026年10月1日から、総務省の指定基準が変わります。
①6割ルール(募集適正基準)
これまでは「募集経費は寄附額の5割以下」というルールでした。ここに「集めた寄附のうち、自治体が事業に使える金額が6割以上」という基準が加わります。
実質的に、経費を4割以下に抑える必要が出てきます。ただし段階導入です。
| 指定年度 | 自治体が使える割合 |
|---|---|
| 令和8年(2026年10月〜) | 52.5%以上 |
| 令和9年 | 55%以上 |
| 令和10年 | 57.5%以上 |
| 令和11年以降 | 60%以上 |
経費にはポータルサイトの手数料、返礼品の調達費、送料がすべて含まれます。枠が圧縮されれば、返礼品の内容にしわ寄せが来る可能性があります。
②地場産品基準の厳格化
区域外の原材料を使う加工品について、これまでの「相応の付加価値」が「価値の過半が区域内で生じていること」に整理されます。これまで人気だった一部の返礼品が対象外になる可能性があります。
「9月中が有利」は本当か?
断定はできません。
総務省が「返礼品が悪化する」と言っているわけではありませんし、10月1日に全自治体が一斉に変わるわけでもありません。指定のサイクルは自治体ごとなので、全国一律の駆け込み期限があるわけではないのです。
ただ、次のことは言えます。
- 経費枠が圧縮される方向であることは確定している
- 同じ返礼品でも、寄附金額の引き上げや内容量の減少が起こりうる
- 地場産品基準に引っかかる品は、取扱いが終了する可能性がある
欲しい返礼品が決まっているなら、早めに動く価値はある。 これが誠実な結論だと思います。
投資家は上限が確定していない
さて、本題です。
ふるさと納税の控除上限は、その年の所得で決まります。会社員なら給与がほぼ固定なので、9月時点でも上限はかなり正確に読めます。
でも投資家は違います。
- 12月に配当が入る
- 年末に利益確定売りをする
- 逆に損出しをして損益通算する
このどれかが起きれば、上限は動きます。9月時点の見込みで上限いっぱい寄附し、その後に所得が下がれば、超過分は全額自己負担です。
もっと厄介なのは「課税方式」
さらに投資家特有の問題があります。
上場株式等の配当は、申告不要・総合課税・申告分離課税のいずれかを選べます。そしてどれを選ぶかで、ふるさと納税の上限が大きく変わります。
年収700万円・配偶者あり・子2人(うち1人は16歳未満)のモデルで、配当100万円がある場合を試算するとこうなります。
| 配当100万円の扱い | 控除上限の目安 |
|---|---|
| 申告不要 | 約78,000円 |
| 申告分離課税で申告 | 約91,000円 |
| 総合課税で申告 | 約118,000円 |
同じ人が、課税方式を選ぶだけで上限が4万円動きます。
※社会保険料を給与の15%と仮定し、住宅ローン控除やiDeCoは考慮していない概算です。実際の上限はご自身の条件で試算してください。
つまり、課税方式を決めていない人は、自分の上限がいくらなのかも決まっていないということです。この状態で「9月中に上限いっぱい」は、かなり危険です。
私が先に決めたこと
ここで冒頭の話に戻ります。
私が9月に動けているのは、今年の配当を申告不要にすると先に決めたからです。
理由はシンプルで、総合課税にすると税負担が20%を超えるからです。
配当を総合課税にすると、国内株なら配当控除が使えます。ただしこれが効くのは課税所得が低い場合で、一定の水準を超えると総合課税のほうが不利になります。私の場合はそちらに該当するため、源泉徴収の20.315%で完結させる申告不要が合理的でした。
課税方式を決めたことで、上限が読める。だから9月に動ける。
逆に言えば、まだ迷っている人は9月に全額を投じるべきではありません。
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一つ、トレードオフがあります
正直に書いておくと、申告不要を選ぶと米国ETFの外国税額控除は受けられません。
SPYDやHDVの配当は、米国で10%課税されたうえで日本でも課税されています。この二重課税を取り戻すには確定申告が必要です。申告不要を選ぶ以上、そこは諦めることになります。
私の場合は、総合課税にしたときの税負担増と天秤にかけて、申告不要を選びました。保有額が大きい方は、この判断が逆になることもあります。 一度ご自身で試算してみてください。
投資家が踏みやすい3つの落とし穴
確定申告するとワンストップ特例は無効
これは知らずに損をする人が多い論点です。
ワンストップ特例は「確定申告が不要な人が、5自治体以内に寄附した場合」に使えます。ところが国税庁の見解では、確定申告をする人は、ふるさと納税も寄附金控除に含めて申告する必要があります。
つまり、
- 配当を申告する人
- 外国税額控除を受ける人
- 医療費控除を使う人
この全員が、5自治体以内でもワンストップ特例を使えません。
ワンストップのつもりで申請書を出し、後から配当を申告してふるさと納税の控除が消える。これは実際に起こります。
米国ETFの配当を総合課税にすると損をする
上限を増やしたいからと総合課税を選ぶ人がいますが、米国ETFでは逆効果になります。
| 国内株の配当 | 米国ETFの配当 | |
|---|---|---|
| 配当控除 | あり | なし(外国法人のため) |
| 総合課税の影響 | 税負担が軽くなることがある | 税負担が増える |
米国ETFの配当を総合課税にすると、先ほどの試算では上限が約4万円増えます。しかし返礼品は寄附額の3割が上限なので、得られる価値は最大でも1.2万円程度。 一方で税負担は約4.2万円増える計算になります。
上限が増えることと、得をすることは別です。
保育料が上がる可能性がある
小さいお子さんがいる世帯には、見落とせない論点です。
保育料は世帯の市町村民税所得割額で決まります。そしてこの所得割額は、配当控除や外国税額控除を差し引く前の額で判定されます。
つまり配当を申告すると、保育料が上がる可能性があります。我が家にも2歳の子がいるので、ここは気にしている部分です。
ふるさと納税の上限が数万円増えても、保育料が上がれば意味がありません。税率だけでなく、所得割額に連動する負担まで見る必要があります。
iDeCoの出口設計|2026年から「5年ルール」が使えなくなった話2026年1月から「5年ルール」は「10年ルール」に変更。定番だった「60歳でiDeCo、65歳で退職金」という受取設計はもう有利ではありません。退職所得控除と公的年金等控除の使い分け、そして見落とされがちな住民税と社会保険料まで解説します。
私の結論:分割して寄附する
「駆け込め」でも「待て」でもなく、私の答えは分割です。
- 課税方式を先に決める(私は今年、申告不要にしました)
- 9月中に寄附するのは、上限の6〜7割まで
- 残りは12月に、配当と売却益が確定してから
- 確定申告をするなら、ワンストップは最初から使わない前提で組む
9月に全部投じるのも、12月まで待つのも、どちらもリスクがあります。10月改正の影響を取りに行きつつ、上限の不確実性は年末に残しておく。 これが現実的だと考えています。
どのサイトで寄附するか?
なお、私自身は今年、日用品とフルーツを中心に申し込んでいます。
家族のリクエストに応える形で選んでいるので、「どのサイトが得か」よりも「欲しいものがどこにあるか」でサイトを行き来しています。
2025年10月にポータルサイトの独自ポイント付与が禁止されて以降、サイト選びの軸は還元率ではなくなりました。
見るべきは、掲載自治体と返礼品のラインナップ、そして決済の使い勝手です。そのうえで、現在それぞれのサイトが提供している特典を確認するのが順番だと思います。
ふるなび
3社の中で、掲載自治体と返礼品の数が最も多いのがふるなびです。
家電やギフト券まで扱っているので、「まず選択肢を広く見たい」という方にはここから入るのが素直だと思います。
独自の決済手段「ふるなびマネー」へのチャージ増量キャンペーンを実施することもあります。ただし常設ではなく、時期によって上乗せの有無が変わるので、申し込む前に必ず現在の条件を確認してください。
特定の経済圏に縛られない点も特徴です。
「auでもPontaでも楽天でもない」という方にとっては、一番クセのない選択肢になります。
au PAY ふるさと納税
Pontaポイントの交換増量という形の特典があります。執筆時点では、お得なポイント交換所での交換で10%増量という内容です。
注意点として、
- 交換後はau PAY マーケット限定のPontaポイントになる
- 有効期限がある
- 増量には月あたりの上限がある
つまりau PAYマーケットを普段使っている人でないと、増量分を使い切れない可能性があります。 Ponta経済圏にいるかどうかで、価値がはっきり分かれる特典です。
貯まったポイントで寄附できる!au PAY ふるさと納税ふるさと本舗
こちらはレビュー投稿キャンペーンを実施しています。執筆時点では、レビューを投稿するとAmazonギフトカード1,000円分という内容で、期間は2026年9月1日から9月30日までです。
経済圏に縛られない点が特徴です。返礼品が届いたあとに一手間かかりますが、どのサイトの経済圏にもいない人にとっては分かりやすい特典だと思います。
全国の美味しい特産品に特化したふるさと納税サイト【ふるさと本舗】選び方の整理
「どちらが優れているか」ではなく、「自分がどちらの経済圏にいるか」で決めるのが正解だと思います。
- 返礼品の選択肢を広く見たい、特定の経済圏にいない → ふるなび
- au・UQ・Pontaを日常的に使っている → au PAY ふるさと納税
- 特定の経済圏にいない、または欲しい返礼品がある自治体で選ぶ → ふるさと本舗
キャンペーンの内容と期間は頻繁に変わります。 申し込む前に必ず各サイトの公式ページで最新条件を確認してください。
まとめ
寄附する前に、この5つを確認してください。
- 配当の課税方式を決めたか(決めていないなら上限も決まっていない)
- 年内に売却益や損出しの予定はあるか
- 確定申告をするなら、ワンストップ特例は使えない
- 米国ETFの配当を総合課税にしようとしていないか
- 保育料など、所得割額に連動する負担への影響を確認したか
2026年10月の改正で、返礼品の条件は少しずつ厳しくなっていきます。欲しいものが決まっているなら、9月中に動く合理性はあります。
ただ投資家にとって、ふるさと納税は年末の所得が見えてから完成するものです。9月に全部決めてしまう必要はありません。
私は今年、上限の7割程度を9月に寄附して、残りは12月に回すつもりです。日用品とフルーツを中心に、家族が実際に使うものを選んでいます。返礼品選びで迷うより、上限の計算を間違えないほうが、よほど家計に効きます。





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