この記事でわかること(3行まとめ)
- SPYDはS&P500の中から配当利回り上位80銘柄を均等に保有するETF。経費率0.07%、年4回の分配
- 「値動きがゆるやか」ではありません。 不動産・公益の比率が高く、金利上昇局面では市場平均より大きく下げます
- HDVがNISA成長投資枠から外れた今、NISAで買える米国高配当ETFとしての価値が相対的に上がっています
はじめに
kyoju(きょうじゅ)と申します。40代の会社員で、投資歴は25年ほどになります。
大学の研究室でデイトレをしていた頃から、FXで大失敗した時代、企業型の確定拠出年金からiDeCoへ移換した時期まで、紆余曲折を経てきました。
その中で今も続けているのが、米国高配当ETFによる配当づくりです。今回は2023年から買い続けているSPYDについて、仕組みからリスクまで整理します。
先に断っておくと、この記事はSPYDを勧める記事ではありません。 3年半持ってみて分かった良い点と、そうでない点の両方を書きます。
SPYDとは
SPYD(SPDR ポートフォリオ S&P500 高配当株式 ETF)の基本スペックです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF |
| 運用会社 | ステート・ストリート |
| 連動指数 | S&P500高配当指数 |
| 銘柄数 | 約80銘柄 |
| 選定基準 | S&P500構成銘柄のうち配当利回り上位 |
| ウェイト | 均等ウェイト |
| 経費率 | 0.07% |
| 分配頻度 | 年4回(3月・6月・9月・12月) |
| NISA成長投資枠 | 対象 |
※執筆時点の情報です。最新の構成やコストは運用会社の公式サイトでご確認ください。
ポイントは「利回り上位を、均等に持つ」という設計です。ここがSPYDの長所と短所の両方を生み出しています。
構成銘柄とセクターの偏り
SPYDは利回りだけで銘柄を選ぶため、セクターがはっきり偏ります。
具体的には、不動産と公益事業だけで全体の約35%を占めます。残りも金融やエネルギーといった、利回りの高い業種が中心です。
逆に言えば、情報技術セクターの比率が極端に低い。 近年の米国株を牽引してきたハイテク企業が、ほとんど入っていません。
これは偶然ではなく、高配当という選定基準が成長株を構造的に除外するためです。成長企業は配当を出さずに再投資するので、利回り上位には入ってきません。
分配金:利回りは4%前後、ただし毎回同じではない
SPYDの分配金は年4回(3月・6月・9月・12月)です。分配金利回りは株価によって変わりますが、おおむね4%前後で推移しています。
米国ETFの中では高い部類で、「配当で副収入を作りたい」という層に人気があるのも納得できる水準です。
ただし、分配金は安定しません
「高配当ETFなら安定した配当が入る」というイメージは、SPYDには当てはまりません。
理由は選定方式にあります。
利回りが高い銘柄というのは、株価が下がったから利回りが高く見えているケースを多く含みます。業績が悪化して減配すれば、次のリバランスで指数から外れる。この入れ替わりが激しいため、分配金は四半期ごとに上下します。
「毎回同じ額が入る」前提で家計を組むと、当てが外れます。
SPYDのメリット
保有してきて実感しているメリットは4つです。
①分配金利回りが高い
4%前後という水準は、インデックス投資と比べて実感しやすいリターンです。数字が口座に入ってくるので、投資を続けている手応えが得られます。
②1本で80銘柄に分散できる
個別株で「どれを買えばいいか分からない」という状態でも、SPYDなら80銘柄をまとめて持てます。
しかも均等ウェイトなので、1銘柄あたりの比率は1〜2%程度。1社が減配してもキャッシュフローへの影響は限定的です。
私は商社株(三菱商事・伊藤忠商事など)の個別株も持っていますが、こちらは常に減配リスクと隣り合わせです。その点でSPYDは気が楽です。
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③低コスト
経費率0.07%は、インデックスファンドとほぼ変わらない水準です。長期保有ではコストがそのままリターンに効いてくるので、ここは素直に評価できます。
④主力のインデックスと値動きが違う
これは意外と見落とされがちな点です。
私の資産形成の主役はインデックス投資です。ただし時価総額加重のインデックスには、情報技術セクターへの強い偏りが含まれます。
そこにSPYDを重ねると、金利局面や景気サイクルへの反応が違うため、ポートフォリオ全体の値動きがならされます。 セクターの偏りという短所が、置く場所によっては役割になります。
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SPYDのデメリット
ここからが重要です。入門記事だからといって、良いことだけ書くつもりはありません。
①金利が上がると弱い
「値動きがゆるやか」「暴落に強い」というのは誤解です。
不動産と公益で約35%を占める構成上、金利上昇の影響を強く受けます。
- 不動産は借入コストが増え、REITの分配余力が下がる
- 公益は設備投資を借入に依存するため、収益が圧迫される
- 債券の利回りが上がると、高配当株の相対的な魅力が薄れる
実際、2022年の米国利上げ局面でSPYDは大きく下落しました。 ディフェンシブだから安心、という商品ではありません。
②トータルリターンは市場平均に劣る傾向
配当込みのトータルリターンで見ると、SPYDはS&P500に劣後する期間が長くなっています。象徴的なのが2020年で、S&P500に対して約30%劣後しました。
情報技術セクターへの配分が低く、逆に低迷したエネルギー・不動産・金融の配分が高かったためです。
資産を最大化したいなら、SPYDは適した商品ではありません。
③分配金が変動する
前述のとおりです。減配リスクも当然あります。
④VYM・HDVとは性格が違う
同じ「米国高配当ETF」でも、中身は別物です。
| SPYD | HDV | VYM | |
|---|---|---|---|
| 選定基準 | 利回り上位 | 財務健全性 | 幅広い高配当 |
| 不動産セクター | 含む | 含まない | 含む |
| 性格 | 利回り重視 | 安定重視 | バランス重視 |
「どれが優れているか」ではなく、取っているリスクが違います。
HDVが外れた今、SPYDの立ち位置が変わりました
ここは時事的に重要な話です。
HDVは2026年6月から毎月分配(年12回)に変更され、その結果、新NISAの成長投資枠から除外されました。 毎月分配型は税法上NISAの対象外となるためです。
【HDV】NISA対象外になったが売る必要はない|保有分の扱いと代替ETFの選び方米国高配当株ETFの王道「HDV」が毎月分配へ変更!だが、すでに持っている分は継続保有できる。投資歴25年のサラリーマン投資家が、毎月分配化のメリット・デメリットや税金のリアル、今後の投資戦略を徹底解説します。
一方、SPYDは四半期分配のままなのでNISA対象を維持しています。
つまり今、NISA成長投資枠で買える米国高配当ETFという条件で見ると、SPYDの選択肢としての価値は相対的に上がりました。
商品の中身が良くなったわけではありません。制度側の条件で、相対的な位置が変わったということです。ここは混同しないでください。
3年半持ってみて分かったこと
2023年から少しずつ買い増してきました。実感していることを書きます。
一つ確かなのは、含み損が出ても気にならなかったということです。
理由は単純で、買った目的がキャッシュフローだったからです。値上がり益を狙って買った資産が含み損になると、「戻るまで待つか」「損切りするか」と判断が揺れます。私はコロナショックのとき、CFDでまさにその状態に陥って数百万円を失いました。
【CFDで全財産を溶かした私から、今のあなたへ】日経平均5万円時代にこそ知るべき「リスク管理」の鉄則日経平均5万円時代に、CFDで全財産を失った商社マン投資家の失敗談を公開。コロナショックで強制ロスカットされた原因は「損切りの遅れ」でした。25年の経験から導き出した、新NISA後のリスク管理と、失敗しないためのCFD活用術をFP2級の視点で解説します。
SPYDは含み損でも分配金が入ります。目的が達成されている限り、株価は判断材料になりません。
「含み損に耐えられるか」ではなく、「そもそも含み損が気にならない持ち方をしているか」。この違いは大きいと思います。
より詳しい保有判断については、別記事で書いています。
SPYDの弱点を知った上で、それでも私が持ち続ける3つの理由|金利上昇に弱い高配当ETFとの付き合い方SPYDには「金利に弱い」「分配金が安定しない」「トータルリターンが市場平均に劣る」という弱点があります。それでも3年半保有を続ける理由とは?HDVがNISA対象外となった今、SPYDを買い増す判断と、高配当ETFとの付き合い方を投資歴25年の経験から解説します。
SPYDが向いている人・向いていない人
向いている人
- 配当という形で、投資の手応えを感じたい
- 個別株を選ぶ時間がない
- 主力がインデックスで、値動きの違う資産を足したい
- 将来のキャッシュフローを今から育てたい
向いていない人
- 資産を最大化したい(インデックスのほうが効率的)
- 分配金が毎回同じ額であってほしい
- 値動きの小さい商品を探している(SPYDは該当しません)
- 投資資金の大半を1本に集中させたい
私自身は、資産形成の主役をインデックス投資に置いたうえで、SPYDはサブポジションとして持っています。主役にする商品ではないというのが3年半の結論です。
買うときに確認しておくこと:為替手数料
最後に実務的な話を一つ。
米国ETFで見落とされがちなのが為替手数料です。
経費率0.07%という数字は気にするのに、円をドルに替える段階のコストは意外と見過ごされます。SPYDは年4回の分配があり、それを再投資するなら、その都度両替が発生します。 回数が多いぶん、ここが効いてきます。
証券会社によって条件はかなり違います。NISA口座での米国株売買手数料や為替手数料を無料としているところもあるので、始める前に比較しておくと後が楽です。
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なお、SPYDには東証で円建てのまま買える選択肢もあります。為替の手間を省きたい方は、こちらも検討の余地があります。
【451A】SPYDを東証で買う選択肢|円建てとドル建て、どちらが有利か?高配当ETFは銘柄選びより「どの器で持つか」で差がつきます。SPYDを東証・円建てで買える451Aを題材に、NISA成長投資枠での扱い、二重課税調整と確定申告の手間、流動性の弱点までを、SPYDを3年半保有する投資歴25年の視点で整理しました。
まとめ
- SPYDはS&P500の利回り上位80銘柄を均等に保有するETF。経費率0.07%、年4回の分配、利回りは4%前後
- 値動きはゆるやかではありません。 不動産・公益が約35%を占め、金利上昇局面では市場平均より弱い
- 分配金は四半期ごとに変動する。定額が入る前提で家計を組まないこと
- トータルリターンは市場平均に劣る傾向。資産最大化には向かない
- HDVがNISAから外れた今、NISAで買える高配当ETFとしての価値は相対的に上がった
弱点のない商品はありません。大事なのは、弱点を知った上で、それが自分の目的とぶつからない場所に置けるかです。
私にとってSPYDは、資産を増やすための商品ではなく、投資を続けるための商品でした。この位置づけが合う方には、検討する価値があると思います。
同じ米国高配当ETFであるHDVやSCHDに関する記事もありますので、ぜひご参照ください!
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